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先を読む頭脳

先を読む頭脳

先を読む頭脳

もう20年以上前の話になるのだが、教育学部に在籍していた私は「教育学」なるものをいくつか学んだ。そしてわかったことは、教育学で学問の名に値する*1ものなんて一つもないな、ということだった*2
大学の講義で準備されいたのはさらに30年以上前の心理学だったから問題外だし、ちと新し目の「教育工学」というのも猿の調教か「苦悶式」の役にしか立ちそうもない内容だった。自主ゼミで読んだピアジェラカン、乳児心理学やゲシュタルト心理学は子どもに向かい合う心構えにはなったが、やはり学問ではなかった。そんな中で、「これは!?」と期待感を持ったのが卒業も近くなった頃に知った認知心理学だ。しかし時間切れ。結婚就職子育てと怒涛の時間が流れていき、私の脳髄も腐った。実は佐伯先生の本を何冊か読んだのだが難しくてよくわからなかったのだった。
この本は将棋の羽生先生の講演を認知科学者の伊藤毅志先生がさらに解説したものだ。
あれから20年たって進歩した認知心理学の知見を親しみやすい羽生さんの話を通じてわかりやすく知ることができるかもという期待を持って読み始めました。しかし、考えてみたらこの期待はあまりにもムシが良すぎました。楽しく読めましたし、実際面白かったのですが、やはり読み終えて将棋でもない、認知心理学でもない、コンピュータ将棋でもないとどれも興味ある内容なのですが、中途半端な印象を持ってしまいました。本として売るためにはいろいろな制約があるのでしょうが、伊藤さんには認知心理学を真っ向から取り上げてしかも私程度の人間にわかりやすく理解できる本を書いてくださることを期待いたします。
でも、将棋のルールは知っているというレベルの方で認知心理学にちょっと興味あるなという人にはお勧めです。一粒で三度美味しい内容ですから。

*1:一般的にはここは「学問」ではなく「科学」と書くのがスタンダードだと思う。しかし、日本語の「科学」は「わけられた学問」という意味なのでよくない。ここは語源を「数学」にもつ「学問」を採用した。

*2:あくまで20年前のことです。現在、教育学を研究されている方々、失礼御免ください