読書メモ:ギリシャ神話は名画でわかる

ギリシャ神話は中学生の頃よく読んだので、日本人の平均よりは詳しいと思っていたが、なんとも基本的なことも知らなかったと思い知らされたことが多かった。

  • 土星のサターン(Saturn)はサトゥルヌス(Saturnus)の英語読み。すなわちクロノス(Kronos)だった。

ちょっと考えてみればサタン(Satan)のわけはないのだが、クロノスとは思いもよらなかった。
それは私がクロノスは時間の神と思い込んでいたからだ。(クロックとかクロノメータの語源)
ギリシャ神話における第1世代の王ウラノスが天空の神、その子どものクロノスが時間の神。そして第3世代のゼウスに覇権を奪われるのだが、空間と時間で「宇宙」ないしは「時空」を表していると勝手読みで納得していたわけだ。
その時間の神が土星のわけがないと思っていた。

  • クロノス(Κρόνος, Kronos)は農耕の神で、時間の神のクロノス(Χρόνος, Chronus)とは別の神様だった。

しかもこの神様、ペレキュデスという名前も知らなかった哲学者の現存しない著作にしか登場しない神様だという。(なぜそれがクロノメータなどの語源になる?)

中学生の頃に読んだのは『ギリシャ神話』と題された本を何冊か、そして『イーリヤス』『オデュッセイア』だ。あとは岩波文庫に入っていたギリシャ悲劇、岩波新書に入っていたギリシャ神話関連の本。
ヘシオドスは最近読んだ。
ところがヨーロッパでギリシャ神話の決定版として読まれたのはこれらではないという。

オウィディウスは『愛の技法』は読んだのだが、ローマ時代の人だし『変身物語』はまったく手をつけていなかった。(持ってはいた)昔は『転身譚』みたいなタイトルだった記憶はある。

ギリシャ神話がギリシャ語で書かれていたら、そんなに広まるはずはなかった。
ラテン語で書かれ、それがヨーロッパの各国の言葉に翻訳されたから、ギリシャ神話が広まったということかな。

とにかく『変身物語』を読まねば!