- 作者: 東周斎雅楽
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/02/28
- メディア: コミック
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この作品は第1巻で写真のような壺を発掘するところから話が始まる。それが最新刊の第10巻でやっと核心に近付いてくる。そう,この壺はギリシャのアテナ神なのだ。
「偉大なる詩人ホメロスは言っている…フクロウの目をしたアテナと」
ホメロスを開いてみたが「きらめく眼の女神アテーネー」だった。しかし,確かに「フクロウの眼の」という記述も読んだような気がする。もしくは「きらめく眼の」がその意訳だという可能性も高い。ギリシャ神話に神様が登場すると必ず名前の前に「ムニャムニャの」という形容詞が入る。例えば「白い腕の女神ヘーレー」とか「群雲を寄せ集めるゼウス」という調子だ。ゼウスなどはバリエーションも豊富なのだがたいていはワンパターンなのでそこらへんは読み飛ばしてしまい,印象に残りにくい。
でも,なぜ「フクロウの目」なのだろう?
この疑問も尊敬に値する新鮮な問いだった。
さて,この作品は考古学者が主人公。とくれば先行作として忘れられないのが「マスターキートン*1」だ。これもヨーロッパの古代文明をテーマにした名作だが,それ以外の要素(探偵・カウンターテロなどなど)がたっぷりと入っていて考古学漫画とは言いがたい。対して「イリヤッド」はアトランティスというテーマ1本ですべて構成しているところが勇猛果敢で素晴らしい。「美味しんぼ*2」より「ラーメン発見伝*3」を薦めるのと同じ理由だ。
もうネタはすべてあがっている(というか結末は見えている)ので完結間近。