5×3は式なのか数なのか

中学数学の教科書には
4\times a\timesを省いて4aと表す。
というように記述してある。

私はこれには賛成できず、4aは計算の結果だと考えられると説明する。
なぜなら4\times a=4aでもあるがa \times 4=4aでもあるからだ。
4aとなってしまえば、もとの式がなんだったかはもうわからない。つまり4aは計算した結果なのだ。

余談になるが、それゆえ教科書にその後で登場する「3ab\timesなどの記号を使って表しなさい」という問題は苦手だ。
3abぐらいなら生徒には「とにかく素直に、素直に答えなさい」ということでよい。
ところが教科書では調子に乗って(?)、-\displaystyle\frac34ab^2というタイプの問題まで出題されるのだ。
これ、常識的な範囲(-6\div8\times a\times b^3\div bなどは駄目としても)だけでもいくつぐらい正解があるんだ?(だいたい素直な子が多いから採点はさほど苦労しないが模範解答を私には作れない)

さてそれでも私は4\times aは計算結果だとは理解していない。

4aの2項演算を表している。
もしくは4\times aという作用を及ぼすことを表していると理解していた。
このどちらかぐらいだろうと考えていたのだ。

ところが最近twitterで読んだのだが、4\times aがすでに計算結果を表しているという考え方があることを知った。

5\times 3が数と書いてある。

どうも#超算数タグで小学校の先生を批判している方々の言っていることは私には理解できなかった。
だって5\times 44\times 5が同じわけがないではないか。
順序が関係ないのなら5-44-5も同じだというのか?そんなわけはない。
しかし上のtweetを読んで、少しだけ理解できるような気がした。
5\times 33\times 5も数を表しているのだから同じだろうというわけだ。
つまりどちらも15と書いてある、というわけだ。

もちろん、私には賛同できない。

5\times 3は数ではなくて(計算することによって数に写る)式ではないだろうか。


ついでだがこのtweetでは「5\times3が場面を表すかのように説明しています」と書いてある。
が、添付の画像を見てもそんなことは書いていない。

書いてあるのは
「1台に5人ずつの3台分で15人です」という文章を数式では「5\times3=15」と書きます。
ということだ。
式は文章を略記したものだからまったくそのとおりと言わざるをえない。


このように書いてないことをさも書いてあるように語って難癖をつけるのはよくある手段。
といえその主張に疑問を持たせることになる手段だからお薦めできない。

さらにさらについでなので。


大昔に教育学部で勉強していたときは、「乗法は累加で定義されるべきではない」と教わった。
ふ~ん。ペアノの公理の授業(小学校理科の先輩のために少し出た)では累加っぽかったけど、そうなんだ。これが現代化ってやつかと思って聞いていた。つまり古い教科書では数え棒などを使って累加で乗法を教えていたけれど、それでは駄目だという話だった。

でも、このtweetの先生、いろいろ古い資料なども調べているようだけれど、100年も前から(つまり数学教育の現代化が叫ばれる前から)乗法を累加で教えていないと主張される。

オイラの記憶とどっちが正しいんだろう?まぁ、今となってはあまり興味ない話だけれど。

ただオイラの読解力では黒木先生は「乗法は累加で教えるべき」と主張していると思ったんだけど、ここもよくわからない。