かけ算の順序問題について(3) 負の数の乗法

懺悔します。

オイラは中学1年の正負の数で乗法を導入する際に次のように掛け算を分類して説明したことがあります。


(1) 加法・減法の計算規則は導いたので,次は乗法について考える。そのにはどのような具体例で考えるのが良いだろうか。

(2)小学校で学んできた掛け算は大きく4通りに分類できる。

  • (1当たり量)\times (いくつ分)=全体量
    • 200円/月\times 12月=2400円
    • 4km/h \times 3h=12km
    • 3つとも単位が異なるのが特徴
  • (もとの量)\times(割合)=求める量
    • 2000円\times 2=4000円
    • 6cm\times3.14=18.84cm
    • 割合は単位のない裸の数なので最初と最後の単位が同じ
  • (長さ)\times(長さ)=面積
    • 12m\times12m=144m^2
    • 3km\times4km\times5km=60km^3
    • かける2つの単位は同じ。3つ目は単位が異なる。同じ単位を掛けるのは長さだけ。
  • その他

(3)さて正の数・負の数について考えるには,これらのうちどの掛け算がよいだろうか?

  • (長さ)\times(長さ)=面積 は負の長さってなに?これはやめたほうがよいだろう。
  • (もとの量)\times(割合)=求める量 これは最初の量は「向きのある量」として考えられる。2000円のもうけが2倍で4000円のもうけ。2000円の損が2倍で4000円の損。でも割合に負の数は考えるのやったことないよね。これは惜しいけれどやめておこう。
  • (1当たり量)\times (いくつ分)=全体量 これは3つの量がすべて「向きを持った量」として考えることが可能だ。
    • 加法の時に使ったカードならば,黒カード・赤カード,とる・とられる,得点が増える・減る
    • 速さならば,東向き・西向き,未来・過去,現在より東に移動するか・西に移動するか

(4)ということで負の数を含んだ乗法の計算は1番目の掛け算で例を作って考えていこう。

こんな感じで「乗法の計算は加減より簡単で絶対値の積にあとは符号の規則が一定なのでそれを覚えてしまえばカンタン」という流れで展開していきます。

最後におまけで論述問題を出します。

某文豪は「(借金)\times(借金)=財産なんてありえへん」と言いました。論破してください。

ということで「掛け算に順序はない」と真っ向から対立する指導法なので,たくさんのコメントをお待ちしています。