教員の力量向上に資するものは

ちょっと切り取りすぎているので解説しておきますと、積分定数さんは「数教協で学んだ教員の方がTOSSで学んだ教員よりひどい教育をしている。結果から判断して数教協の方がTOSSより悪い。民主的に議論してダメな教員作るより、独裁者がフツーの教員を作るほうがずっとマシだ」という主張をされています。

「数教協で学んだ教員の方がTOSSで学んだ教員よりひどい教育をしている。」
という部分に関しては賛意も異議もありません。
そりゃそういうこともあるだろうし、逆の場合もあるだろうしと感想を持つだけです。
私自身はどちらの団体にも所属していませんし、それが事実かどうか検証しようという熱意も興味もありません。

異議を申しあげたいのは、その後の部分です。

数教協もTOSSも民間教育団体ですが、その大きな目的はそこに参加してくる一人一人の教員がそれぞれの力量を向上させることでしょう。
だとしたら、その中身が相互で議論してよい実践に学んだり自分の実践を発表して批判され考えを深め成長していくというスタイルなのか、教祖がABC評価をしてA評価の実践を皆が真似をするというスタイルなのかは本質的な問題です。

TOSSはまさに「とりあえずましな授業ができるよ」と売り出したのだと思います。
ワイワイ騒ぐだけでちっともいうことをきかない子ども達を前に困惑している教員。
そういう教員たちをターゲットに、「うちに金を払ってうちのいうとおりにやれば、とりあえず授業しているような見かけは作れますよ」とすりよってTOSSは金儲けしてきました。
「こうすれば学校予算でTOSSの教具を購入できまっせ」と手取り足取り。

でも、それで本当にその教員は成長したのでしょうか。

一人一人異なる子どもに対応できる教員になれるのでしょうか。
時代によって変わってくる教育理論や子ども観に対応していけるのでしょうか。

生まれるのは教えている子ども全員に「必ず分数の線と=は定木で書きなさい」と強制する教員というのが現実なのではないですか?

たとえ即効性はなくても自分の頭で考え、目の前の子どもと格闘し、失敗したり成功したりしながら成長するというのが教員が力量をつけていく道筋だと考えます。

なお蛇足ながら積分定数さん以外の読者のために断っておきますが、私は個人的にムケ山さんは大嫌いですが、数教協にしろTOSSにしろ、そこに貴重な休みに自腹で金を出して学びに行く教員は向上心を持った尊敬できる方々だと思っています。たとえ教え方は下手くそでも、その事実だけでも充分に子ども達を陶冶するものと思います。