基本の作図について(承前)
東京書籍の「新しい数学」では基本の作図は4つ登場する。
一つ目が対称点を利用する点から直線への垂線
二つ目が点から直線への垂線のもう一つの方法
三つ目が線分の垂直二等分線
四つ目が角の二等分線
この4つは直感的に正しいとして*1、暗記するように指導する。
で、前のエントリーの答案は二つ目の方法、つまり直線に垂線を引く方法を使っている。
この方法は(2)の円は同じ半径である必要があると強調するが、(1)と(2)の半径は特に同じにする必要はないと教える。
対称点を求めるにはさらにもう1手。
垂線の足を中心に垂線の長さを半径にした円が必要なのだ。
しかし、実際に作図をしてみればわかるように、(1)の円を描いた後、わざわざ半径を変える必要はない。
すると、実際には対称点を求めてしまうというわけだ。
つまり、答案の生徒は「偶然、正解を得た」可能性が大きい。
もちろん偶然だろうが、野生の勘だろうが正解は正解だ。
しかし、きちんとわかって解いている答案との差をだしたいとか悩む先生もいるのではなかろうか。
そして、教科書通りに(1)と(2)の半径を変えてしまったため誤答となる答案もでてくる。
採点にはいちいち(1)と(2)の半径が等しいかどうかを調べなければいけないわけだ。
偶然の正解者を見つけるための作業は生産的とは言えない。
むしろ、同じ半径だったら対称点が見つけられるよということを授業でやっておけば、悩まずに○をつけらてたと反省したのだ。
そこで、老頭児の考えるところは以下のとおり
- コンパスで仮想的な凧型・菱形・正三角形を描くことを「基本の3つの作図」とする
- 凧型・菱形・正三角形の性質は証明後回しで学ばせる
- 仮想的な正三角形から60°、正六角形、垂線が作図できる。
- 仮想的な凧型から垂線、対称点、角の二等分線が作図できる。
- 仮想的な菱形から垂線、対称点、線分の垂直二等分線、角の二等分線、平行線が作図できる。
ただコンパスをぶんまわすのではなく、見えない菱形を描いているんだと意識させたらよいのではないかと思うのだ。
どうですかね。最後のところ図があった方がいい?
*1:二つの円の図はついている