平行四辺形の性質の証明

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中学2年生の教科書には平行四辺形の性質が次のように記述されている。

平行四辺形の性質
  1. 2組の対辺がそれぞれ等しい。
  2. 2組の対角がそれぞれ等しい。
  3. 対角線がそれぞれの中点で交わる。

つまりは平行四辺形は点対称だということだ。

点対称とは180度回転しても合同な図形だと言うことだから、上の性質では3番が本質だといえる。
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すなわちOA=OC, OB=ODを示すことで、対角線の交点Oが回転の中心であり、AがCに、BがDに180度の回転移動で移ることが示される。

ところが3番をいきなり証明しよう、すなわち\triangle OAB\equiv\triangle OCDを示そうとしてもうまくいかない。
平行四辺形という仮定(2組の対辺がそれぞれ平行)だけでは、どこも辺が等しいことがいえないからだ。

そこで1番を先に証明することが必要になる。

まとめると平行四辺形の性質は

  • 3が本質。
  • 1は3を証明するための補題
  • 2は1の証明から獲れるオマケ。

このように理解していた。

しかし、よく考えてみると、1番の証明をすればもう充分という気がしてきた。

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1番の証明をするためには角辺角の合同条件を用いて\triangle ABC\equiv\triangle CDAを示す。

これで直感的には平行四辺形が点対称だと主張しても良さそうだ。
点対称であることを証明するには平行四辺形ABCDと平行四辺形CDABが合同であることを示せば良い。
それは分解して\triangle ABC\equiv\triangle CDA\triangle ACD\equiv\triangle CABを示すことになるが、この2つは同じことだからだ。

合同な図形の対応する長さや角の大きさは等しいので、ACの中点をOとすると、中線の長さが等しいこともいえるから、OB=OD。さらに \angle AOB=\angle CODもいえるので、\angle BOD=180°もいえる。