口語訳古事記 人代篇

口語訳 古事記―人代篇 (文春文庫)

口語訳 古事記―人代篇 (文春文庫)

著者が挿入する古老のつぶやきがいささか多すぎるような気がする。が、読みやすいのですらすら読めて嬉しい。以前読んだ時はもっと血生臭くって残酷なシーンが多かったような記憶があったのだが、今回読んだ限りではそれほどでもなかった。(それでも十分多いが)

みなそそく おみのをとめ
ほだり取らすも
ほだり取り かたく取らせ
したがたく やがたく取らせ
ほだり取らす子

この部分の現代語訳

水がそそぎ流れる大海の 臣のおとめよ
豊かな垂れ物を手になさるよ
大きなあれを手に いま少し強く取れよ
しかと固く いよいよ固くなるまで取れよ
豊かな垂れ物を手になさる子よ

この部分は驚いた。「ほだり」ってまだ辞書ではお銚子ってなっているが、これは新しい解釈なのか。
解説ではこうなっている。

ここに示した歌の解釈は、歴史学者・直木孝次郎の見解で、おそらく正しい。ことに酒の席では、こうした卑猥な歌も多く歌われたはずである。
ホは立派にの意のほめ言葉、タリは垂れているものの意で、満ち足りた状態を表わす。通説では酒を満たした瓶のことだと言われているが、ここでは男の一物と解釈した。

垂れているものといえば、確かにペンダントのペン…ペニスと同じ発想の言葉ですな。国の東西は違っても「垂れているもの」といえば、アレなんですなぁ。でも西のほうでは使用する際はファルスと名前も変わるけれど、古代日本ではどうなんだろうと思ったことでありました。