十干

甲(コウ)、乙(オツ)、丙(ヘイ)、丁(テイ)、戊(ボ)、己(キ)、庚(コウ)、辛(シン)、壬(ジン)、癸(キ)のことを十干という。これを幹(カン→干)と十二支を枝(シ→支)として順に組み合わせて作ったのが干支(えと)であるわけだ。

1 甲子 11 甲戌 21 甲申 31 甲午 41 甲辰 51 甲寅 
2 乙丑 12 乙亥 22 乙酉 32 乙未 42 乙巳 52 乙卯 
3 丙寅 13 丙子 23 丙戌 33 丙申 43 丙午 53 丙辰 
4 丁卯 14 丁丑 24 丁亥 34 丁酉 44 丁未 54 丁巳 
5 戊辰 15 戊寅 25 戊子 35 戊戌 45 戊申 55 戊午 
6 己巳 16 己卯 26 己丑 36 己亥 46 己酉 56 己未 
7 庚午 17 庚辰 27 庚寅 37 庚子 47 庚戌 57 庚申 
8 辛未 18 辛巳 28 辛卯 38 辛丑 48 辛亥 58 辛酉 
9 壬申 19 壬午 29 壬辰 39 壬寅 49 壬子 59 壬戌 
10 癸酉 20 癸未 30 癸巳 40 癸卯 50 癸丑 60 癸亥 
この十干も先の藤堂先生の解釈だとやはり植物の生長の序列が基となった漢字であるということだ。やはりメモしておく。

甲(コウ)

合や盒と同系でかぶせる意を含む。原字は魚の鱗かもしれないが鱗も全身にかぶって覆うもの。
植物動物が固い殻におおわれている状態を広く甲という。

乙(オツ)

軋と近く、上から下へ押さえる意を含む。
植物がなお抑圧されて伸びだせず、地下で屈曲している時である。

丙(ヘイ)

原字は左右に張った魚の尾であろう。しかしこの語は方や房、防と同系でピンと左右に張りだす意を含む。
植物の根がいよいよ左右に張り出る時期を表わす。

丁(テイ)

原字は釘の頭、もしくは当て木の象形。
植物の芽が伸びようとして地表にT型に当たり、なお表面に出きらない時期である。

戊(ボ)

矛と同じくホコの象形。卯、貿、冒などと同系で、障害をおかして、むりやりに進む意を含んでいる。
植物の芽が、固い地表をおかして、むりに地上に顔を出す時期である。

己(キ)

曲がりつつ起きたつさまを示し、後世の起の原字。
植物の若芽がむっくと起きたつ時期である。

庚(コウ)

原字の大切な点は中央に強い縦線が通っていること。何かの心棒を表わす。
植物の茎が固く生長し、また固く張った穅(モミ)の実る時期である。

辛(シン)

小刀を示す象形文字。刀で切り取ることを示す。
生育した植物を切り取る時期である。薪の原字と考えてよい。

壬(ジン)

糸を巻き取る糸巻きの象形。仕込んで太くふくれる意を含む。
植物を取りこんで収穫物で家も蔵もふくれる時期である。

癸(キ)

原字は三峰というよりむしろ四峰のホコの象形。回転させて敵中におどりこむ。ひと巡回する意を含む。
ここで一巡りし終わったところの意味である。

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この十干が陰陽五行などとからまって色々な意味が付加されたが、それは数学とはあまり関係がない。もっともそれがペンタグラマと絡んでくるとまた興味深い。これもそのうち書きたいな。