女房言葉

「しゃもじ」が本当は「猫も杓子も」の「杓子」だということは知っていた。「しゃ文字」は女の使う言葉で、男は正しく「杓子」と言わなければならない。ところが、「ひもじい」も女言葉だということは知らなかった。「ひ文字」という女房言葉が形容詞化したものらしい。正しくは「ひだるい」だそうだ。そういえば水木しげるの妖怪図鑑に「ひだる神」というのが居たような気がする。
どうも「X文字」という言葉は女房言葉のようだ。間違えて使ってしまうといけないので、辞書で検索したのをメモしておく。

いもじ
烏賊(いか)。
かもじ
髪(かみ)
くもじ
〔「くき(茎)」の文字詞〕菜などの漬物。
さもじ
さかな。また、鯖(さば)。
しゃもじ
〔杓子(しやくし)の文字詞。近世女性語〕めしや汁をすくうのに用いる道具。特に、めしを盛る具。めしじゃくし。いいがい。へら。
しろゆもじ
〔「湯文字」は腰巻の意。遊女が赤湯文字をつけたのに対し、普通の女性は白色のものを用いたことから〕しろうとの淫売婦。
すもじ
〔「すし」の文字詞。もと女房詞〕鮨(すし)。おすもじ。
そもじ
〔「そなた」の文字詞。中世以降女性が用いた〕二人称。あなた。
にもじ
〔女房詞〕ニンニク。
ぬもじ
ぬすびと。
ねもじ
葱(ねぎ)。
のもじ
海苔(のり)
はもじ
〔文字詞。近世女性語〕恥ずかしいこと。おはもじ。
ひともじ
〔女房詞「葱(ねぎ)」のことを「き」と一音で言ったことから〕ネギ。
ひもじ
〔「ひだるし」の文字詞。もと中世女性語〕空腹であること。
ふもじ
鮒(ふな)。
ほもじ
干(ほ)し飯(いい)。
めもじ
〔「めみえ」の文字詞〕お目にかかること。おめもじ。
ゆもじ
〔「湯具」の文字詞〕婦人の腰巻。〔女房詞〕湯帷子(ゆかたびら)。