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十二支

清水義範の「飛びすぎる教室」は一応最後まで読んだ。実は結構興味の方向性が一致する話題が多い。中に暦の話もあった。十二支やユリウス暦の話で基本的な話しか書いていなかったが、次の本を思い出した。

漢字と文化 (徳間文庫)

漢字と文化 (徳間文庫)

尊敬する藤堂明保先生が十二支はバビロニアの十二宮という説を批判している。ちなみに十二支とは子(シ)、丑(チュウ)、寅(イン)、卯(ボウ)、辰(シン)、巳(シ)、午(ゴ)、未(ビ)、申(シン)、酉(ユウ)、戌(ジュツ)、亥(ガイ)が正しい読み方。それぞれの意味を藤堂先生の本からメモしておく。

頭髪がどんどん増えて伸びて行くさまを示す象形文字。(うらやましい…)
植物がこれから子を増やし生長しようとする時期を示す。

手がひどく曲がった姿を象形文字
植物が地下においてなお屈曲して伸びかねている時期を示す。

真っ直ぐに伸びた矢の形を示す。
植物がすくすくと伸び始める時期を示す。

両側に押し開けたさまをしめす。閉じたものや障害を押しのける意を含み、貿・冒などと同系の語。
植物が伸び出る時期。または植物の枝葉が茂って、上からかぶさるさまを呈する時期。

貝の肉がペラペラと動くさまを示す象形文字
植物が若芽をなびかせて動き、盛んに生長する段階。

子ども・胎児の象形。
植物が種子をはらみ始める段階。

杵の原字で、上下させて餅をつきならす棒の象形。きつい馬をならして柔順に制御する意。五や互と同系で交叉する意を含む。
前半と後半が交叉するポストを表す。

木のこずえの未熟な枝を示す象形文字
植物のなお成熟しきらぬ未熟な段階。

電光を表わす象形文字。電の原字。まっすぐに伸びきる意を含む。
作物の伸びきった時期。
日本では電光は「稲光」「稲妻」と呼ばれ稲の成熟をもたらしたと考えられた*1が、それと同様の意識が中国にもあったと解してもよい。

酒を搾る壺の象形。
収穫した穀物で新種を作る時期と考えても良いし、広く「引き締めてひと所に収穫する」意と解しても良い。

ホコ*2の象形。武器で守ること。西方北方の遊牧民族は毎年収穫期を狙って黄河デルタに侵入し、農業民の収穫物を略奪するのが数千年にわたるこの地のならわしであった。
武器で収穫物を守る時期。

ブタの全身に行き渡った骨組みを表わす象形文字。全部に行き渡る意を含む。
全部終結するとの意を表わす。

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以上で引用を終わります。「午」が真ん中でなかったり、ちょっと順序やその意味に疑問点はありますが、いずれにしても十二支というものが植物の生長過程からつけられた数詞(序数)であるという主張は説得力があると思います。
ただ、これらが直接1月、2月…という意味に使われたことはないそうですから誤解のないように。十干と組み合わせて年を表わすのが基本のようです。
十干の話はまたあとで。あと白川先生だとまた解釈が微妙に異なってきます。これもまたそのうち。

*1:注連縄が雨雲と雨、そして稲妻をかたどったものであることは有名だ。映画で見たことがあるのだが、宮沢賢治は農学校の生徒にこれは科学的事実であると教えていたそうだ。空気中の窒素が電光の影響で肥料となることがあるのだろうか?

*2:ホコ(矛)と藤堂先生は書かれていますが、字を見る限りゲキ(戟)に見えますけどね。いやカだったっけ?どちらにしても武器には違いないから問題ないのですが。