自己PRカード

東京都の公立高等学校の入学試験の合否判定資料は「自己PRカード」が必須になっている。次に「調査書*1」。これも不登校生徒を対象にした高校以外は必須だ。そして「面接」または「学力検査」が次に来る。
この「自己PRカード」は3つのことを受検者本人が記入する。

  1. その高校を志望した理由など
  2. 総合的学習の時間と選択教科で何を学んだか(第3学年)
  3. 特別活動などで特にPRしたいこと(3年間)

下の2つは客観的な事実だし,「調査書」にも記載する内容だ。授業時間の1/4は「総合」と「選択」というカリキュラムであるし,3年間委員会や部活動で頑張ってきた生徒は色々書くことができる。昨年も*2調査書を普通は12ポイントの文字で書いていたのだが,はいりきらず,8ポイントでぎっしり書いた生徒もいた。(読んでもらえたかどうか不安…)
しかし,書くことがない生徒はみごとに書くことが無い。
そして書くことがない生徒がもっとも悩むのが1番だ。
そもそも受検する高校に入学したいと強く思っているわけではない。本当は別の高校を受けたかったんだけど,担任の先生に「寝ぼけたこと言いってんぢゃないよ」と一蹴され,万が一受かる可能性があるとしたらここしかないというので出願するわけだ。そう正直に書くべきだろうか。。。
しかし自己PRカードの配点は最低100点と決められている。調査書点と学力検査点の合計は1000点だ。では,その比は1:10か。否。書くことが無い生徒のうける高校の調査書点の平均は何点だろう。学力検査点の平均は…と考えると,多めに見積もってそれぞれ200点いくかどうか。自己PRカードの得点はへたしたら合否の鍵を握ってしまう重みがあるのである。
事実,中学校ではなにも勉強しないで卒業して行ったA君は1年後,恋人の勧めもあって一念発起,猛勉強して高校を受験した。しかし,不合格。入試の得点を見ると数学は40点以上得点している。中学校のいたときには考えられない高得点だった。いかにA君が努力したかがうかがえる。では不合格の理由は…明らかに自己PRカードの得点だった。0点に近い…。
というわけで,いかに書くことが無かろうと自己PRカードをないがしろにするわけにはいかないのだ。しかし,中学生に「嘘」や「たてまえ」を書くことを教えるべきなのであろうか。*3

高校が目的意識を持って入学してくる生徒を熱望する気持ちはわかる。しかし,入学試験で自己PRカードを書かせることが目的意識を持つことにつながるとは思えない。せめて1番の「入学を志望した理由」は削除して欲しい。胎児に「日本国民になりたい理由」を言わせてから生まれてきなさいというだろうか?

*1:いわゆる内申書というモノ

*2:この手のネタは1年は寝かせてから書いています。

*3:実際には「建前」を書けなんて指導はしません。今までが駄目だと思うなら,これからの「決意」を書くんだよ。みんなが行くから僕も高校へというのは正直だし,きっかけはそれでいい。でもそれだけじゃ,高校は卒業までもたない。今,決意しろ…ってな感じでやります。でも,やはり,ごまかしはいってるよなぁ。

*4:正しいんです。念のため。