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鶴亀算と連立方程式

鶴と亀がどやどやと遊びに来ました。玄関を見ると帽子掛けに10個の帽子がかかっていました。また,靴は13足(26個)が散らばっていました。
さて遊びに来た鶴は何羽で亀は何匹?

全員が帽子をかぶっていたという条件が必要だなんて野暮はいわないように……。

算数による解法

まず「わっ」と亀を驚かせて後ろ足で立たせる。これが鶴亀算の肝だ。
すると鶴は足が2本。亀も足が一時的に2本になる。したがって帽子の数から考えて,この瞬間,足の数は10\times2=20本であったはずだ。
すると,現在空中にある足の数がわかる。靴の数から足の総数は26。すなわち,26-20=6本である。
この6本はどれも驚いて立ち上がった亀の足である。これから亀の数がわかる。6\div 2 = 3匹だ。
最後に鶴の数がわかる。10-3=7羽である。

連立方程式による解法

x羽,亀y匹とする。
帽子の数と靴の数でそれぞれ式を立てると
\left{$\begin{array}{rcrr}x+y&=&10&\cdots(1)\\2x+4y&=&26&\cdots(2)\end{array}$\right.
(2)\times2    2x+2y=20 \cdots(3)
(2)-(3)  2y=6 \cdots(4)
(4)\div2   y=3 \cdots(5)
(5)を(1)に代入して  x+3=10
           x=10-3=7

比べてみると…

両方の解答を慎重に比べてみると,どちらの解法も,実際の数値の計算はまったく同じであることがわかる。
どちらもポイントは

  • 10\times2=20
  • 26-20=6
  • 6\div 2 = 3
  • 10-3=7

なのである。
算数による解法は「驚かせて亀を立たせる」というひらめきが必要で,それぞれの数値計算も意味を考えながら進めなければならないのに対し,方程式による解法は式を立ててしまえば後は機械的な加減法の計算を進めれば自動的に解を求めることができる。
これを理由に「だから方程式は紙と鉛筆が考えてくれるんだ」というと,これは少しトンデモが入ってきているかもしれない。所詮問題文の表と裏にある,1,2,4,10,26から生成される数の集合に答は含まれているわけだし,方程式を別の解き方で解くこともできる。(でも,その解法の算数的な意味を読み取ることもできそうだ)
ただ,「方程式とそれを表現する記号の発明が数学を大衆化した」ぐらいは言っても間違いではないだろう。
吉田洋一先生の名著「零の発見」で,0の発見が筆算を可能にし,数値計算を大衆化したことは広く知られている。現在の記号体系の発明が方程式を大衆化した功績も0の発見に次ぐものと考えるのだがどうだろうか?どなたか「移項の発見」という本を書いてくれないかしら。

零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)

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最初「26足」と書いてあったのですが,柊さんから靴は「2個で1足」と指摘いただきました。訂正しておきます。