直角三角形の合同条件

中学2年生の課程で直角三角形の合同条件という定理がでてくる。

  1. 斜辺と1鋭角がそれぞれ等しい直角三角形は合同である
  2. 斜辺と他の1辺がそれぞれ等しい直角三角形は合同である

この1つ目に疑問を持った方は多いと思う。これ,いらないんじゃないと。
つまり直角三角形なので90°の角は当然等しい,そして直角以外にもう一つ角が等しいのならば,「三角形の内角の和は平角(180度)」という定理は合同を用いずに得られるのだから,残りの角も等しくなる。したがって「1辺と両端の角がそれぞれ等しい三角形は合同である」で充分ではないか。
まったく同感である。証明を書く際の行数がちょっと短くなるだけの効用しかない。しかも許せないのは「直角」に何の必然性も無いことだ。直角でなくても「2つの角」が等しければ成立するわけだ。
つまり最初から「対応する2角と1辺がそれぞれ等しい三角形は合同である」としておけば済むことだったのだ。その方が証明も短くてすむ。
2つ目は直角に必然性がある。証明を考えてみれば明らかだ。これぞ本物の「直角三角形の合同条件」といえよう。
結論:三角形の合同条件は次の4つにまとめよう。

  • 辺角辺……これが基本の三角形の合同条件
  • 角角+辺……相似かつ相似比が1:1なら合同だ
  • 辺辺辺……三角形のみに成り立つ特殊な合同条件(4辺が等しい四角形は合同とは限らない)
  • 辺辺90°……直角三角形の合同条件