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確率200万分の1の母子

数学

oyako.JPG
これは古い新聞記事のコピーです。なんて新聞の何年何月何日に載った記事か不明なのが残念ですが,外国からの配信記事ですからもしかすると複数の新聞が採用したかもしれません。ただこの記事がうるう年に書かれたことだけは確かです。
写真はクリックすると大きくなります。

さて,この母子におめでとうをいうことに何の異議もありませんが,この見出しおよびこの「確率」を計算したという数学教授にはどうも怪しい雰囲気が感じられます。
そもそも「母子がともに2月29日生まれである確率」とは何のことなのでしょうか?
この怪しい数学者が計算したという\Large\displaystyle\frac{1}{2,134,521}とはいったいどういう計算で求められた数値なのでしょう。
調べてみると他愛も無い数値でした。
\large (365+365+365+366)^2=2,134,521
つまり(4年間の日数)×(4年間の日数)だったのです。
確率とは(求めたい場合の数)/(すべての場合の数)ということは,この数学者の言いたいことは「ある4年間の中の2月29日に母が生まれ,それから母が子どもを産む年齢になった後,ある4年間のうちの2月29日に子どもが生まれる確率」ということでしょうか?
それだったら,「母が閏年の4月5日に生まれ,子どもが閏年の前年の6月7日に生まれる確率」だってまったく同じ値です。
今年は閏年ではありませんから,このような母子が発生する確率は0です。閏年にはたくさん発生するでしょうが,閏年にはいった時点でもし閏年うまれのお嬢さんが誰も妊娠していなかったらやはり確率0です。
要するにこの記事は「これ,ちょっとめずらしいでしょ」と言いたかったんだけど,科学的な香り付けをするためにニセ数学者に適当な数値をでっち上げさせたわけですね。

確率の概念は比較的新しいもののせいか基本的なことでもちゃんとわかっている人は驚くほど少ない。(私も測度論で落ちこぼれた)

中学生の諸君。2年生で確率を勉強した後で身近にいるオトナに次の問題を出してみてください。全問正解したら,そのオトナを君は尊敬するべきだ。ただし,正解を自分で見出してからですよ出題するのは。

  • サイコロで5回連続して6が出た。次は6の目が出る確率が高い。(Yes/No)
  • サイコロで「1」の目が出る確率は\large\frac{1}{6}だ。だから,サイコロを6回振れば1回は「1」が出る。(Yes/No)
  • 宝くじを10枚買った。これじゃ当たらないかなともう10枚買い足した。これで1等*1が当たる確率は2倍に増えた。(Yes/No)
  • バックギャモンをプレイしていてオーラス。6のゾロ目を出せば逆転できる局面。気を充実させれば6ゾロが出る確率は\large\frac{1}{36} よりほんのちょっとだけだが上がる。(Yes/No)
  • 世界最速のサイコロ完全版を1000回ばかり振ったら*2どうも「6」の目が「5」の目より多く出るという結果が出た。このサイコロは世界一の精度だからもっと数多く振ればだんだん「5」の出た回数と「6」の出た回数の差は縮まっていくはずだ。(Yes/No)

*1:宝くじの1等は複数あるとしてください。http://www.takarakuji.mizuhobank.co.jp/topics.html

*2:これはフィクションです。このサイコロ欲しいけど,買っていません。以前スワロフスキのきれいなサイコロを振ったら一発で欠けてしまいました。買ったとしても怖くて振れないかもしれません。