来年の教科書からは復活するようなのでちょっとメモ。
従来の教科書で取り上げられている2次方程式の解の公式の証明は次のようなものである。
両辺をでわって
この証明には2つの不満がある。
- いきなり両辺をで割るところ。分数が出てくると,ここで読者(生徒)の拒否反応を呼び起こしてしまう。実際,文字式でしかも分数係数で平方完成を目指すのは難度が高すぎる。
- のところにゴマカシがある。実際ははの場合との場合がある。それはに吸収されてしまうから結局気にしなくてよいのだが,そこまで触れると混乱を招くし,スルーしてしまうのだが,それはゴマカシているわけで,やはり嫌だ。
そこで,私の授業では次のように証明することにしていた。
両辺にをかけて
もちろんを掛けるという動機が不明なのでその点問題はあるのだが,自分としてはこの証明がベストだろうと実は一人悦に入っていたわけです。
ところが,先日衝撃的な証明に出会いました。
はじめにを代入してしまうのです。
これが中学生に向いているかどうかは別として,なぜ衝撃を受けたかというと,この方法はn次方程式を解く際に(n-1)次の項を消す基本的なテクニックだからです。つまり,3次方程式・4次方程式の解法に直接つながるテクニックだからです。この真っ当さを忘れていたんです私は。学校教育の本筋では取り上げられない一般の3次・4次方程式であるだけに,好きだなぁ,こういう精神。
を代入すると
整理すると
移項してで割って
ここでなので
追記:「おとなりページ」のおかげで次のページを発見。
これも別の証明です。
http://d.hatena.ne.jp/redcat_math/200509
私の感想としては「2次方程式」というより,「2次関数の零点」を求める変形といった印象ですが,面白いですね。イロイロあるということで。