下里正樹氏共産党除名について

若い人も多いと思うので少し説明から始めます。
下里正樹は赤旗の記者でした。「悪魔の飽食」という本は関東軍731部隊の中国での残虐な行動を初めて世に知らしめた本です。最近,改定新版が文庫本で出ましたから興味のある人はお読みください。この「悪魔の飽食」は推理作家の森村誠一氏によって書かれました。何故,下里氏が自分で書かなかったのかは不思議なのですが,とにかく取材・資料提供が下里正樹,執筆が森村誠一という分担だったようです。
下里正樹にはもう一つの筆名があります。奥山紅樹です。これは将棋の観戦記を書くときのもので奥山紅樹の観戦記はとても斬新で感動的なものでした。日本共産党は宮本氏が将棋ファンだったせいか将棋の棋戦をひとつもっています。「新人王戦」奨励会3段も出場できるこの棋戦はまたエネルギッシュで新鮮ですばらしい将棋が多いのです。この新人王戦の観戦記を奥山紅樹が書いているので,それを読むために赤旗を購読する人も多かったと思います。(私がそうでしたから)
その赤旗にある日突然,下里正樹を糾弾する長大な論文が載ったので驚きました。なんでも,地方の同人誌に幹部を誹謗する内容の小説を発表したからというのです。奥山紅樹としての大活躍,「悪魔の飽食」とそれに続く「日本の暗黒 実録・特別高等警察」などでの日本共産党に対する長年の貢献から考えて,これは酷いだろと納得できなかった覚えがあります。
昨日,あちこち読んでこのことを思い出し,下里でぐぐってみたらこんなページを見つけました。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/morimura.htm
これを読むと,同人誌に書いた小説はたんなる口実だったということのようです。これが事実だとしたら,下里氏に対する日本共産党の仕打ちは実に卑劣で残酷です。宮本氏が過去にどんなことをしたかなんて,ほとんどの人にとってはどうでもいいことです。日本共産党がせっかく練り上げてきた理論と政策,結集してきた知性や感性,そして集めてきた支持を裏切る行為です。あ〜あ。
今日の党首討論会を聞いていて,志井さんの発言に違和感を覚えました。また民主党の岡田さんも週刊新潮の桜井さんとの対談以上に頭悪い発言連発でげっそり。私はいままでどのレベルの選挙も共産党以外に入れたことはなかったのですが,今回の衆議院選では初めて自民党に投票することになりそうです。

追記:参考リンク
http://www.assert.jp/data/1995/20603.htm